たなからたこやき

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それっぽい短編小説を書こう

どうも、おりんです。

先日、それっぽい小説の書き方という記事をあげさせていただきました。

まだ見てない方はこちら↓

それっぽい小説を書こう - たなからたこやき

 

コイツが結構参考になったという声をチラチラ小耳に挟んだので調子に乗ってそれっぽい小説の書き方 ver.短編(1000字いかないくらい)についてやっていこうと思います。

 

前置きはこれぐらいにして、

 

それではいってみよう!

 

 

①こんな話というのを考えよう

本当に、ざっくりでいいです。何も詰め込もうと考える必要はありません。

例えば、AくんとBちゃんが初めて手を繋いで恥ずかしい、そんなことでいいのです。

短編小説を書くのが難しいという方は、おそらく少ない語数で起承転結をつけなきゃいけないとお考えになっているのでは?

ノンノン

本当に大切なのは、前回の記事で書いた通り、語り手に寄り添って心情を考え膨らませるという、その作業なのです。

 

ちなみに今回私はこちらの題材を使って短編小説を書いていきたいと思います。

あるひ もりの なか

くまさんに であった

はな さく もりの みち

くまさんに であった

 

くまさんの いうことにゃ

おじょうさん おにげなさい

スタコラサッサッサのサ

スタコラサッサッサのサ

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そう!みんな大好き「もりのくまさん」です!

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こちらは、みんな大好き「もりのまさひこ」さんです!中日のレジェンドだ!やったぁ!

……まあ、話の内容や構成力はあまり「それっぽい」短編小説では求められません。

ぶっちゃけ会話二往復くらいあればあとは心情の表現でなんとかなります。

というわけでストーカーされてイヤリング返されて一緒に歌うくだりははぶきました。

 

 

②ざっくりと書いてみよう

前回の記事を参考に、これを本当にざーっくり書いてみます。

 

「は?そこを説明しろ ざっくりってなんだよざっくりって」

とキレている画面の前のあなたには、140ssを書くことをお勧めします。

説明しよう!140ssとは、ツイッターで呟ける長さの短ーいShort Storyのことであーる!

140字だったら、本当に会話一、二往復と語り手の思ってることぐらいしか書けないですが、それでもこの手順を踏んだ後のことをしていただければ、字数こそ500字とかになりますが割とそれっぽくなります。

 

さて、ではもりのくまさんをこんな感じで書いてみました。

 ↓

 

ある日、森の中を歩いていたら私はくまさんに出会ったのだ。それは、周りに花が咲いた道だった。

「え、」

突然茂みから出てきたくまさんに体が縮こまった。

でも、くまさんは優しそうな瞳、そしてふわりとした声色でこう言った。

「お嬢さん、お逃げなさい」

「……あ、はい」

よく分からないけど、なんだか紳士なくまさんだなぁ。心がぽわっとあたたかくなった。周りの花が風に揺れた。

 

こんな感じで良いでしょう。

ちなみに今のところ字数にして170字とかそんなもんです。

 

 

③語り手の心情描写を書き込もう

世の中には心象風景という言葉がありますね。よく国語の問題なんかにも出てきますが……

まあ、心象風景の描写が難しいなら、テキトーな風景書いてそれが語り手の心情についてくればええやん?

とんだドクズです。

小説はその、ストーリーの動きよりも心情の動きに焦点を当てた方が面白いし引き込まれるので(当社比)、テンポよく進めるのは難しくてもダラダラと心情書くという割と簡単な作業に集中してみましょう

さて、こんな感じに仕上げてみました。

 

森の中って退屈で、それからいいことなんて大してない。

鳥だとかリスだとか、絵に描いたような「森」なんて私の知ってる森のほんの数センチにしか過ぎない一面でしかなくて。虫だって多くてよく刺されるし、山火事だって怖いし、何よりも夜は真っ暗で、どうしても、「私はひとりぼっちなんだ」と思わざるを得ないのだ。泣きたくなって涙を流してもあの暗さじゃ誰も見つけてくれない、どこまでも孤独だ。早く森を出て街に住んで、素敵な男の人、なんなら王子様と結婚して、幸せになってしまいたい。まだ少女としか表現できない私はまだまだ子供が考えたような未来に胸を膨らませることしか出来なかった。

そんなある日、森の中を歩いていたら私はくまさんに出会ったのだ。それは、周りに花が咲いた道だった。
「え、」
突然茂みから出てきたくまさんに体が縮こまった。何せ熊には気をつけろと両親にきつく言われていたから。ええっと、死んだふりをすればいいんだっけ、それとも目を合わせて後退するだとか、あわあわとしてしまう。ああここで襲われて怪我をして、そのまま私は誰にも見つけられることなく、まだ見ぬ王子様に出会わぬまま死んでしまうんだなぁ、と涙が出そうになった。
でも、くまさんは優しそうな瞳、そしてふわりとした声色でこう言った。
「お嬢さん、お逃げなさい」
「……あ、はい」
よく分からないけど、なんだか紳士なくまさんだなぁ。心がぽわっとあたたかくなった。周りの花が風に揺れた。私の足取りも心もなんだか軽かったのは気のせいじゃないと思う。

 

こんな感じでしょうか。いやこんな書けねえよ!と思うかもしれませんが、書き手の気持ちに寄り添って書き手がどう思っているかを筋道立てて説明していく感じで書き、心情どう変わったかなーとか考えてちょこちょこ加筆する作業は意外と難しくなくて、慣れれば簡単なのです。

あ、ちなみにここまでの字数は650字弱です。心情の表現が話の内容の4分の3以上も占めている計算ですね。

まあよい、ネクスト!

 

 

④深みを出そう

なんだ深みって?そもそも小説の深みってなんだ?

ここでいう「深みを出す」とは、「読み手に語り手や登場人物の心情の受け取り方に幅を与える」「読み手を作品の世界観に一歩近づけさせる」作業のことです。

大体ざっくりと

①表現をぼかして②疑問形を利用し③語り手の心情の核心をつくような部分を削ったり比喩に変える

作業をしていきます。ちょっと①と②は分かりにくいかもしれないので説明していきますね。

 

例えば、

このピンクの花が咲いた

という文章があるとします。

これを深みのある文章に変えてみましょう。

①ピンク→薄い赤

赤を薄めればピンクになりますね。直接的な表現をちょっと避けてみます。

②花が咲いた→花が咲いたのはいつだろうか

いつでしょうね。まあそんなこと知ったこっちゃないのですが。

これを落とし込むと、

この薄い赤の花が咲いたのはいつだろうか

 

どう?

けっこういい感じになったでしょう?

まあ、①②は情景描写に、③は心情描写に使いやすいでしょう。

そんなこんなでこういった作業をしていきます。

 

森の中って退屈で、それからいいことなんて大してない。
鳥だとかリスだとか、絵に描いたような「森」なんて私の知ってる森のほんの数センチにしか過ぎない一面でしかなくて。虫だって多くてよく刺されるし、山火事だって怖いし、何よりも夜は真っ暗で、どうしても、「私はひとりぼっちなんだ」と思わざるを得ないのだ。泣きたくなって涙を流してもあの暗さじゃ誰も見つけてくれない、どこまでも孤独だ。早く森を出て街に住んで、素敵な男の人、なんなら王子様と結婚して、幸せになってしまいたい。まだ少女としか表現できない私はまだまだ子供が考えたような未来に胸を膨らませることしか出来なかった。
そんなある日、森の中を歩いていたら私はくまさんに出会ったのだ。それは、周りに小さな赤や黄色がちりばめられた道だった。
「え、」
突然茂みから出てきたくまさんに体が縮こまった。何せ熊には気をつけろと両親にきつく言われていたから。ええっと、死んだふりをすればいいんだっけ、それとも目を合わせて後退するだとか、あわあわとしてしまう。ああここで襲われて怪我をして、そのまま私は誰にも見つけられることなく、まだ見ぬ王子様に出会わぬまま死んでしまうんだなぁ、と視界が滲むのがわかった
でも、くまさんは優しそうな瞳、そしてなにかを包み込むような声色でこう言った。
「お嬢さん、お逃げなさい」
「……あ、はい」
よく分からないけど、なんだか絵本で見た王子様の執事さんみたいな、そんなくまさんだなぁ。心に小さなマッチの灯りが灯ったみたいだ。周りの花が風に揺れた。私の足取りも心もなんだか軽かったのは気のせいじゃないのかな

 

青字はさっきと変わった部分、グレーは消した部分です。

多分700字とかかなこれで。こんな感じで完成と言えましょう。

 

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ひらがなばっかりの童謡も妄想と表現の落とし込み次第でここまでそれっぽくなる!わーい!たのしー

文章の表現力乏しいなぁ、とか、短編小説書くのむずいなぁ、とか考えているそこのあなた!

マジで難しいこと考えずにやってみよう

本当今まで考え過ぎてたのがアホみたいになると思います。

 

深く考えなくても表現をぼかしてかさまししたりすることで、心情が1ミリでも変われば起承転結が勝手についてくるからそれを書いて短編にしようというお話でございました!

 

偉そうなこと長々とすみませんでした!

以上おりんでした!